■『REWIND』から天下一品まで
朝宮・例えばどういう分析をするわけ?
湯魔・ジャッキーが攻めているときは画面左に、とかね。逆に攻め込まれているときはイマジナリーラインを交代させて右に置くとか。確かにそれだと攻防の強弱がはっきりして良いんだよ。あとは、1カットでどれくらいの拳撃を挿入するかが肝だった。ジャッキーは最低でも1カットで5発。ボーンシリーズだと1カットに1発も無かったりするからなあ。酷いもんだよ、ハリウッドとフランスのアクションは。
朝宮・ついでに聞くと、君のジャッキー映画ベスト3は?
湯魔・3位が『WHO AM I?』、2位が『プロジェクトA』、1位が『酔拳2』かな。
EJ・『酔拳2』ってジャッキーの頭がおかしくなるんじゃなかったっけ?
湯魔・それは香港公開版ね。『WHO AM I?』はジャッキーが修行した洪家拳の妙技が見られる。本物の拳法を現代劇で違和感無くやってのけていて、興奮しっぱなしだったな。『プロジェクトA』はサモハンもユンピョウも出てるから文句なしに面白いし、ギャグも豊富。『酔拳2』は洪家拳の創始者、ウォン・フェイフォンが主人公の映画で、ウォン・フェイフォンの曾孫弟子にあたるラウ・カーリョンも出ている。ラウとジャッキーの対決は物凄く貴重。
朝宮・やはりラストの大アクションが?
湯魔・ジャッキーの流れるようなカンフーと、「酔拳vsテコンドー」が見所ですね。足技最強のテコンドーにすら、酔えば酔拳の方が強いという構図が堪らない。
朝宮・本気出した怪熟女にはギャルでも敵わない、というようなもんですかね。
湯魔・そういうこと!
湯魔・ツァイ拳使いが出てくるのだが、『REWIND』でもヤナさんがちょっと披露しています。
朝宮・自作でここはジャッキー映画しているな、という部分ってある?
湯魔・「終劇」の前の部分なんかはもろジャッキーだな。最後のゾーイ戦。思いっきりジャッキーに似せた闘いが出来たと思う。
朝宮・というと?
湯魔・YUMAとゾーイ、それぞれの攻防が同じ分量だけ繰り返されて、少しずつゾーイが勝ちに近づいていく様子なんかは、かなりジャッキー映画だろう。ジャッキーも必ずピンチが訪れる。ゾーイも一度ピンチに陥るわけじゃん。そこで一旦「終劇」となって、でも終わらない。
朝宮・デモンズ方式(※09)だな。
湯魔・あの「まだ終わっちゃいないよ、仕切りなおしだ」ってセリフはREWIND=巻き戻しと絡めたわけです。エンドロールの後に一瞬だけ湯魔とゾーイが踊っているシーンが流れる。あのテレビ画面で流れているのはリワインドの格闘シーン。巻き戻して何度でも楽しめよって思いを込めました
EJ・天下一品のラーメンどんぶりと同じ理屈か。「あしたもお待ちしております」と丼の縁に……。
朝宮・あれも飲みきった人へのご褒美というか。
湯魔・よく飲めるなあ。
朝宮・湯魔監督、天一きらいだよねえ(笑)。ほかに見所は?
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