結城一誠過去作品展示
INDEX ABOUT INFO CONTENTS ARCHIVE BBS LINK
REVIEW: TOP > INDEX > ARCHIVE > MOVIE
未来世紀ブラジル1985年:143分:イギリス/アメリカ
ジャケット

+INTRODUCTION+
ギリアムはこの映画を、『バンデットQ』(1981)に始まり『バロン』(1989)で終わる「3部作」の2作目と称している。これらの映画の共通テーマは、「ぶざまなほど統制された[awkwardly ordered]人間社会の狂気と、手段を選ばずそこから逃げ出したいという欲求」である。
映画に描かれた政府の全体主義的な官僚政治は、ジョージ・オーウェルの小説『1984年』に似ている。ギリアムはこの映画について「『1984年』にインスパイアされているが、オーウェルの小説を再現するのではなく今日的な視点から未来を描いたものである」と語っており、また「ウォルター・ミティ(ジェームズ・サーバー著の短篇小説の登場人物)とフランツ・カフカの出会い」とも述べている。ギリアムの言葉によれば、『未来世紀ブラジル』は「1984年版『1984年』」である。実際に、この映画の制作中のタイトルは「1984 1/2」だった。
+SYNOPSIS+
20世紀のどこかの国。情報省はテロの容疑者「タトル」を「バトル」と打ち間違えてしまい、無関係なバトル氏を無理やり連行していく。それを一部始終見ていた上の階に住むトラック運転手のジルが抗議をするも、全く相手にされない。
一方、情報局に勤めるサムは、このミスをなんとかするために試行錯誤していた。近頃サムは、夢の中でナイトの格好をして、美女を助け出すというおかしな夢を見ていたが、情報省に抗議に来ていたジルがその美女にそっくりだということに気づく。
ある日、サムが家に帰るとダクトが故障しており、非合法のダクト修理屋と名乗るタトルが勝手に直してしまう。サムはまた夢の中でサムライの怪物と戦い、美女を救う夢を見る。サムはジルの正体を知るために断っていた昇格を望み、友人であったジャックの元を訪ねる。そして、様々な事柄が複雑に絡まりあっていく…。引用元:WIKI

監督
テリー・ギリアム
脚本
テリー・ギリアムド
トム・ストッパード
チャールズ・マッケオン
撮影
ロジャー・プラット
編集
ジュリアン・ドイル
出演
ジョナサン・プライス
キム・グライスト
ロバート・デ・ニーロ
イアン・ホルム
キャサリン・ヘルモンド
ボブ・ホスキンス
マイケル・パリン
CURRENT INDEX
第十一回
第十三回
AHEADINDEX
●リレー連載映画レヴュウ/第十二回 『未来世紀ブラジル』

世界がグルリと反転し牙を剥く。
誰もが各々の役割を果たしていくだけで堆積されゆく無意味さが一個人を襲う。
無意味さのこの累積した連鎖の果ては滑稽ですらあり、そこに巻き込まれた者共を笑いを持って眺める。
眺める。
このフレーズが一番ハマル。
傍観が伴った時、この連鎖は理不尽さとして当事者へ襲い掛かり悲劇とななり、引き攣った笑いを道連れに幕を閉じる。
ブラジルの陽気なテーマに反し、乾いた笑い声と冷めた視線。
イギリス映画特有の空気感。呆れた笑い。
クダラネエの一言で一線引くことができたならば渦中へと嵌まり込むこともなく、諦念に似た思いを持って眺められていた筈なのだ。
無意味さは傍観していればこそ呆れつつ付き合うこともできる。
そこへ情熱を持って参加したならば唯一拮抗しうるのは”意味”によるものではなく、逞しい”幻想”だ。
幻想はハードで煌びやかで少し狂っているくらいがいい。
無意味さと対抗しようと思うならば、そこへ”意味”を持ち込むのではなく狂気の伴った夢、それを抱いていくしかない。
「きっとよくなる」
その現実離れした夢から覚めずに目を閉じたまま飛び上がることだ。
”地面に叩きつけられるまでは安全だ”
現実から目を逸らせ。
客電が点れば白ける夢だ。
せめてエンディングテーマが終えるまでスクリーンに噛り付いてりゃいいじゃねえか。
僅か2時間だ。
中学生のころ。
夢見ることのタフさを教えてくれた人生を変えた一本。
飛び出すがジェット。そのディテール。抜きん出たヴィジュアル。空調が効き過ぎて乾いた空気。
カフカ世界で狂騒的に跳ね回る物語。
圧倒的は、「未来世紀ブラジル」。

タイトル


NEXT→
-1-

Copyright c2007 FLYER All right reserved.
画像使用について問題がありましたら「ABOUT」内メールフォーム、もしくはBBSにてご一報下さい。