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●リレー連載映画レヴュウ/第十四回 『WHO AM I?』 | ||||
そんな私がアクション映画の最高峰に挙げるのは【酔拳U】なのですが、これはもう余りにも完璧に過ぎるので語るだけ野暮になってしまう。 さっきも言ったとおりジャッキー映画は語るだけ野暮になってしまうのです。 だって観た方が早いんだから。 しかし敢えて説明させてもらいましょう。 ほら、昨今ヒットするアクション映画って「ボーンアイデンティティ」のような愚作が多いでしょう。 そんな安っぽいアクション映画とどこがどう違うのか。 そこだけ言及させておくれ。 アクション映画のアの字も知らない盆暗どもにマット・デイモンのアクションを勧められるのはもう勘弁願いたいのだ。 このレビューを読んだあと皆さんがマット.デイモンに中指立ててジャッキーのおわします南西の方角に向かい深々と頭を垂れている絵が目に浮かびます。 ジャッキー映画の素晴らしい点を箇条書きしてみます。 ●アクションが滑らか ●カット割りが巧い ●弱さも見せる ●ジョーク満載 ●アクションシーンにCGは使わない ●スタント無しの生身のアクション ●演出至上主義 書き出したら切りが無い。 〔アクションが滑らか〕 知ってのとおりジャッキーの操るアクションは中国拳法である。 ジャッキーは京劇出身なので厳密には拳法家では無い。 が、京劇で鍛えた体術をベースに本物の拳法家(洪家拳、劈掛拳、少林拳etc)の殺陣師に師事し功夫を学んだ。映画と共に何度も修練したのだから、映画の歴史こそが彼の修行した歳月そのものなのだ。 身に着けた功夫の力量といったらそれは相当のものでしょう。 中国拳法というのは生半な練習で習得出来るものではない。 それこそキアヌ・リーブスやキャメロン・ディアスが1年間訓練したと言ったところで結果あの動きなのである。 (マトリックス チャーリーズエンジェルしょぼかったでしょ) そりゃアメリカには教える土壌が無いって?否、マトリックスもチャリエンも武術指導したのはユエン・ウーピンです。 ユエン氏はジャッキーの出世作【酔拳】の監督をした人でもあります。 指導者に問題は無い。 要は演る人間だよ。 キアヌやキャメロンがいくら頑張ったってジャッキーの繰り出す流水の如き滑らかな動きは出せませんでしょう。 筋肉の質が問題か、食べてる肉の問題か、体格でかい故に総身に知恵が回りかねているのか。 いずれにせよ白人で功夫を完全にマスターしたという人間を私は知らない。 ブルース・リーに師事しジークンドーを学んだチャック・ノリスや合気道の師範であるスティーブン・セガールや欧州空手チャンピオンであるジャン・クロード・バンダムですら、あの滑らかな動きは出せていない。 どう見ても力技なのだ。 力の流し方がわかっていない。中国拳法で言うと化剄というのだけど。 まぁこれ以上話すと20時間くらいかかるのでこの辺で止めておくが、とにかくジャッキーの繰り出すアクションというのはそれはもう途轍もなく滑らかで舞踏のように美しいのです。 -2-
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