とザッと大雑把に今作の粗筋を綴ったわけだが筋だけ聞くとどうってことのないB級SFて感だ。
しかし。しかし、だ。
全編を吹き荒れる皮肉の嵐と癖のある戯画的人物が繰り広げるパイソン調の白々しさとふてぶてしい活劇、目に入る全てがデザインされた圧倒的ビジュアルで物語りは着々と進んでいくもんだから粗筋に感じる常識的印象は皆無。
当サイトFLYERで何度も取り上げられている二瓶勉氏の漫画ともそのビジュアル面での共通点は多く見られ、剥き出された無数のダクト、カオティックな都市構造と幾何学的秩序さを保って描かれるミニマムな風景などブレードランナーとはまたベクトルの違うデットテックのクールさが惜しげもなくスクリーンに描かれる。