無意味さや無駄、虚無に退屈に孤独。
そこへ切り込んでいく圧倒的幻想。
それこそが無意味さに対抗しうると俺は信じる。
的確な状況分析から導き出される論理的帰結。
事態を把握することで自らの取るべき行動を予見し、言動を自らの意思で制御し、己が思う最良の行動、最適な現状へと自らを導くよう努力する。
現実と向き合い、幻想に逃げず。
大人な対応だろうしそう在るべきなのだろう。
が、果たして本当だろうか。
彼、彼女の日常と云う忙しさに身を没入させることで現実に潜む無意味さに自身を直面させるのを避けるための技術でしかないのではないだろうか。
現実に直面すればするほどその夢は逞しく育てなければならないんじゃないだろうか。
技術だけで築き上げられた人生も在りうる。
夢だけ作り上げた人生も在りうる。
その両方とも、悲劇的であることには変わりはないだろう。
「現実から目を逸らすな」と言う人々がどれほど巨大で強力な幻想を抱えているのだろうか。
無意味さを恐れるあまり”現実”という夢に、”日常”という幻想に逃避しているに過ぎないのかもしれないとは疑わないのだろうか。
無意味さを排除し覆い隠した”現実”や”日常”ほど狂気から離れ、脆い幻想はない。
狂気を孕んだ幻想を抱えずに見ている”現実”にどれほどのリアリティがあると言うのだろう。
幻想を恐れるあまり人間関係の幻想を放棄し、無意味さを恐れ手段へと没入し築き上げられた知性に一体何の価値がある。
だから俺は、夢を見る。
強力無比な幻想を抱く。
痛みを嫌がり傍観者になるのを望むほど退屈なことはない。
趣味なんて捨ててしまえ。
幻想は遊びじゃない。
そうした時生々しさが現れ、”何か”を体感する。
さあ、あんたの頭の中にあるデッキにテープを射し込め。
明かりが点いたなら白ける夢だ。
技術に頼ることなく、表現に甘えることなく。
”何か”を体感するんだ。
そこに”映画”がある。
知っていたかい。頼りになるのは君だけだ。
準備はいいかい、ミイスタア。
ピザは頼んだか?そら、客電が落ちるぞ。
さあ、暫く俺は休むぜ。トラックからニヤニヤ眺めるよ。気合入れていけよEJ!
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