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●リレー連載映画レヴュウ/第七回 『レクイエムフォードリーム』 | ||||
『そうなったらもう連中と同類だ。ドラッグ依存症が、世間依存症に変わるんだ。(中略)俺を選べ。人生を選べ。ローンを背負った生き方を選べ。洗濯機を選べ。車を選べ。ソファに座り、ジャンクフードをほおばらいながら、退屈で気が滅入るクイズ番組をながめる暮らしを選べ。自分が産んだ、わがままで馬鹿なガキどもにとって居心地悪いだけの家庭で、自分を呪いながら朽ち果てる生涯を選べ。人生を選べ。』 (アーヴィン・ウエルシュ「トレインスポッティング」P273) 『「我々はテレビに育てられ、おかげで百万長者や映画スターやロックスターになると信じ込んだ、中立の子どもだ。だが、現実にはそうはなれない。そして我々はその現実をようやく悟ろうとしている」』 (チャック・パラニューク「ファイトクラブ」P221) 『「(前略)マーケティングは、非情に支配したが、ぼくの欲求を満たしていたし、ある意味では、自分自身を本当には好きにならないように教育していた。マーケティングとは本質的に、うんちをすばやく食事客に提供して、まだ本物の食品を受け取っている気にさせるとことだから。実は創造ではなく、窃盗だし、誰だって盗んで気分がいいわけがない。でも基本的に、ぼくのライフスタイル逃避はうまくいっていなかった。本物の地下室族を、自分の目的のために利用していたに過ぎない――デザイン屋がアーティストを搾取して新しいデザインの思いつきを出してくるのと、大差ない。ぼくは騙り屋だったし、結局は立場がまずいことになったんで、とうとう”二十歳代中期挫折”を味わった。そのときになって、事態は薬物がらみになり、どん底まで落ちて、慰めの言葉も一切気なかなくなりはじめた」』 (ダグラス・クープランド「ジェネレーションX」P30) こうして捩れ狂った現実観、「人生」って奴に対して足掻いて足掻いて日常に対抗すべく「夢」を観る。 いつしかそれは対抗手段ではなく依存へと代わり、涙目に霞んだ風景は「現実と向き合う」というそもそも話しに立ち返らざるをえない。 いやいや、だからよ、一体向き合うべき現実てのはどのクソのこと言ってんだ?と。 そもそも、だ。 だれもが「より良くしたい」って思って始めてんだって。 問題はライフカードのCMに嫌悪感抱いたりドコモのCMで掲げられる浮かれ騒いだライフスタイルの揚げ足取りではなく、問題は誰もが思う「より良く」って奴だ。 どこか認めたくない決定的な打撃に備えてのエアバックが夢って奴だ。 畢竟「退屈で孤独」。 そうして伴う自身の中途半端さ。自分の在りようを自己言及しえない曖昧さ。 -2-
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