結城一誠過去作品展示
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●リレー連載映画レヴュウ/第四回 『ソナチネ』
ジャケット

また先述した「間」である。武の映画は異常なほどに「間」に優れていると言っ ていいだろう。
昨今の映画やドラマのチープな台詞を思い出してごらんなさい。
なんでそんな喋るかな…と疑問に思ったことないですか?人間そんなに自分の感 情を示す為にべらべら喋りませんて。表情だったり間だったり大切なのは寧ろそ ちらの方でしょうよ。 低脳OL辺りはそこらへんべらべら喋り捲らないと不安で しょうがないんでしょうからそういう低脳はゲ○戦記みて「良かったよね」と隣 の莫迦に同意を求めてりゃいいんです。
そう、ゲ○戦記ね。ありゃ酷い。ちょっと脱線するが、あの映画こそ(映画??) 全てを台詞で説明してしまったとっても親切なアニメなんです。
「命って大切なのよ」って頭の悪そうなヒロインがご丁寧に説明してくれるわけですから。
「心オナニーに例えよう〜♪」なるほどそんな映画だった。心オナニーだ。
そんな駄目映画が横溢している日本映画の中できちんと間で語る映画を撮っている監督が 北野武なんです。
静と動 生と死 そして間 これをちりばめ、更には北野ブルーといわれるフィルターを
全編にわたってかけることによって絵画的な情景を醸し出し、上質なクラシックを聴いているかの ような心地よさを与えてくれる。
勿論それは激しくも切ない死へと向かう鎮魂歌なのですが。
そう、それこそこの映画のタイトル【ソナチネ(ソナタ形式の一つ)】が示すように メロディを奏で終止へと向かう村川の生き様すなわちそれは監督北野武の生き様を 描いていると言って良いのではなかろうか。

ここで劇中の武演じる村川と国舞亜矢演じる行きずりの女の会話を紹介して締めましょう。

「凄いよね。平気で人撃てちゃうんだ。
平気で人殺しちゃうってことは平気で死ねるってことだよね。
強いよね。私強い人大っ好きなんだ。」

「強かったら拳銃なんて持ってないよ。」

「でも平気で撃っちゃうじゃん。」

「怖いから撃っちゃうんだよ。」

「でも死ぬの怖くないでしょ?」

「あんまり死ぬの怖がるとな死にたくなっちゃうんだよ。」

「全然わかんないよ。」


どこへ行く?


次回の映画レビューのバトンは昭和最後の軍人、結城一誠氏だ!
彼の奏でるソナタもまた読者を静謐と鳴動の入り混じる素敵で豪奢なコンサート ホールへと誘ってくれることでしょう。 乞うご期待。


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