結城一誠過去作品展示
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●リレー連載映画レヴュウ/第一回 『恐怖の人体実験 呪いのわら人形』
朝宮運河
ジャケット


迫力の大乱闘 私も書いていてどうでも良くなってきた。ヒラノ、カトウ、コウサカの三人はタガワ作品ではもはやすっかりお馴染みの面々だし(ヒラノは『悪魔の人体実験』で醤油を一気飲みしていた青年である。つまり彼が救急車で搬送されるのはこれで二回目だ)、焚きつけるだけ焚きつけておいて必死で仲裁に入るタガワカンタも、「僕ドキドキしてきちゃった」と心臓を押えて右往左往する田中餌蝋も(この人は一度として心霊研究家らしい働きをしたことがない)、一体全体なにがしたいのかまったくわけが解らず、さらに云うなら藁人形の検証ビデオにおいて、カトウが彼女に性病を感染されたとか、絶頂時には「ママー!」と叫ぶなどという情報は視聴者にとってはどうでも良いのである。云うまでもなく全編これヤラセであって、この監督、心霊ビデオの仮面を被って脇道に逸れることを面白がっているとしか思われない。
 一応最後には心霊ビデオらしい落ちが付いて、ヒラノを呪っていたのは彼に手を出されて退社した女性事務員だったということが判明し、心霊研究家の田中餌蝋が「人間ってイヤな動物ですね」と総評を述べて終わるのだが、何をかいわんやだ。フェイクだから気にするまでもないのだが、性病に罹り、彼女まで寝取られたADカトウ氏の立場はこの先一体どうなるのだろう? 

 思った以上に長くなってしまったので早々まとめに入るが、私はタガワ作品におけるヤラセに腹を立てるつもりは毛頭ない。大げさな身ぶり手ぶりによってタガワ監督ははっきり「これはフェイクである」と宣言しているので、むしろヤラセとしては随分と質の良い方であろう。何よりタガワ作品における扇情的でけばけばしいフェイクの手法は、見世物小屋の木戸口上にも通ずる「懐かしい大嘘」の感じ、嘘だ嘘だと思ったらやっぱり嘘だった、というあの期待と疑惑と落胆の入り混じった感じがあって、小ぶりな嘘を連ねているような作品よりもずっと好もしく思われるのである。
 見世物小屋の木戸銭は、あの極彩色の絵看板と口上に対してこそ支払われるべきものだと常々思っているのだが、如何。

 ここではタガワカンタについてのみ述べたけれど、レンタル屋の心霊ビデオコーナーにはまだまだあなたの知らない映像が隠れ住んでいる。
 そこでは迷走時代の細川ふみえがお遍路姿で「四国は死国、死の国です」と語っている。鬚のない稲川淳二が五重塔の下に立っている。あの懐かしい人面魚や人面犬にだって会うことができる。その気になれば天草四郎の亡霊だって見ることができるのだ。
 さあ、勇気を出してレンタルショップの無人境に足を踏み入れるがよい。恋人たちや家族連れの目に決して触れることのない、秘宝館めいた映像を探り出すがよい。
 安心したまえ。君がそこで友人知人に出会う確率は、万に一つもないのだから。

★ ★ ★


 さてのっけから長々書いてしまったけれども、これはFLYER所属メンバーによるリレー連載映画コラムの第一回分である。参加は五人で各三回ずつ。毎週更新の予定だからええと都合十五週は新しい映画の紹介が載りまする。  リレーなので次の執筆者にバトンを渡さねばならぬ。心霊ビデオでいきなり真黒く汚れたバトンだが、サイファイ野郎の前原一人ならこれを近未来色に染めてくれるでせう。
 というわけで、次の執筆者には当サイト管理人の前原一人氏を指定致します。
 次回の更新をオタノシミに。
 
おしまい

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