湯:君の後継者の貞子さんなんてのが良い例かな。あの霊は歩かないでしょうよ。腰砕けて這い
ずってくるだろう。
あれは怖いよね確かに。
これは人にあらざるモノという怖さだね。いったいこいつは何なんだと。
それを完全に真似たのが呪怨の伽椰子さんなんだ。
そうだろ伽椰子さん。
伽:… … … いいえ違うわ。あれは私が夫に暴力を受け足も腰も立たない状況で逃げる様を
再現しているから歩かないという演出なのよ。
湯:言い訳だな。 そういう言い訳は小説でしか通用しないよ。小説は設定が重要だからね。
映画館で見てるものにとっては貞子となんら変わりないさ。しかしあの這って来る姿もやり過
ぎるとあざといよ。
因みに「降霊」で少女霊君は君たち二人のことを馬鹿にしてるんだよ。

写真11を見てくれ。これはまるで君たち二人の
迫り方だよね。 でもね、この時点で少女霊君は
生きているんだ。
笑っちゃうだろ。幽霊か!と思ったら普通に生き
ている女の子なんだよ。
ハハハ、まぁこのあと少女霊君は死んでしまうん
だけどね。
因みに「降霊」での幽霊は足が無くふわふわと進
んでいったり(古典のオマージュだな足が無いと
いうのは)少女霊さんにいたっては普通に歩いて
くるのではるが、女優霊との違いはねBGMの使
い方なんだ。
静謐なムードに上質のBGMが加わるだけで人間
にあらざる動きを演出できているんだよ。
あとは女優霊さん。あと伽椰子さん。君たち二人に共通して言えることなんだけどね。
君たちこっち見過ぎ。
女:え?
伽:え?
湯:わからないか?君らが劇中で呪い殺す対象がいるだろう。その人たちのことを見過ぎだって
言うんだよ。
女:見ちゃ… 駄目なの??
湯:いいかい。人の目を見るということはすなわち「意思が通じるかも」と思わせることにつな
がるんだよ。
目は口ほどにものを言うというじゃないか。それだよ。
目を見る=意思が通じるかも→なんとかなるかも となるんだ。
いいかい。幽霊映画で目を見ちゃだめだ。
君たちは見過ぎるんだよ。あまりにも長い時間見すぎるから、襲われてる方も見てる観客も
「怖い怖い怖い…けど、もしかしたらなんとかなるかも」となるわけ。
あまりにも長時間見つめてこっちに迫ってくるとだね急に幽霊といいつつ質感を帯びてくるん
だ。
そりゃそうだ。長い時間自分と同じ人間の形をしているものを見つめていたら喩え幽霊でも殴
れる気がしてくるだろ。
長い間姿を晒し見つめる→質感を帯びる→殴れるかも→勝てるかも
となる。
君たち怨霊は絶対に人間に負けてはならないんだ。あんなに質感だしてたら逆襲されるぞ。
見てる観客も流石に最初は怖がってくれるけどね、そのうち目が慣れてくると君らの質感
に気づくぞ。
そうしたら殴れる感じがしてくるじゃないか。そうしたらもう怖くないよね。
君らは己の質感を反省しなくちゃいけないな。女優霊さん(写真12)、伽椰子さん(写真13)

ここでも「降霊」の少女霊君は君たち二人を馬鹿にしてい
るんだぞ。
なんせ少女霊君は実際に役所広司さんに木の棒でボコ
ボコに殴られるんだよ。(写真14)
伽:殴られるようじゃ駄目なんじゃなかったの?
湯:わかってないな。逆手にとったのさ。
幽霊なんて殴れるわけないという君らが築きあげたものを
一気に壊したんだよ。
殴ったからといって少女霊を倒したことにはならないん
だ。
いつの間にか消えているしいつの間にかまた別のところに
現れる。
かといって何もしないんだよ少女霊は。 何もしない。
ただ そこにいるだけ
これのどれだけ怖いことか。
いいかい。女優霊さんも伽椰子さんも君らの攻撃的な怖がらせ方はね、寧ろアメリカのホラー
映画に近いんだよ。
ジェイソンでもレザーフェイスでもフレディでも何でも良い。
いかに直接的な攻撃をして観客をどっと怖がらせることが出来るかに重きを置いているようじ
ゃ、最初の一回で飽きられるのさ。
よほどコアなホラー映画ファンじゃなきゃ2回3回と見やしないよ。
もう君らがどう攻撃してくるかわかっているからね大抵の人は
1回目で飽きるのさ。
-4-
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