結城一誠過去作品展示
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●リレー連載映画レヴュウ/第九回
『女優霊vs.呪怨vs.降霊  代表幽霊座談会』
ジャケット


湯:いいだろう。いいかい。写真4と5を見てくれ。

写真4 写真5

  これはね、主演の風吹ジュンさんの後ろにいずれも幽霊が映っているね。
  まぁわかりづらいだろうけど、いるんだよ。これで風吹ジュンさんがまるで気づいていなくて
  ただ単に観客を怖がらせるためだけの演出だとしたら
  呪怨の伽椰子さんと俊雄君の間違いと同じことをしていることになる。
  でもね、実はここで風吹ジュンさんは霊感を持った設定で、既に自分の後ろに幽霊がいること
  に気づいているんだ。

  あまりにも普段から霊感が強いために呪怨のキャストのようにいちいちキャーキャー喚かない
  のさ。

写真6 女:しゅん … …

伽:しゅん … 
  でも私の息子の俊雄が喫茶店のテーブルの下にいたとき
  皆さんびっくりしてくれましたのよ!(写真6)
湯:だからそれはドッキリ効果であってホラーではないんだ
  よ。びっくりしてくれた観客に感謝するんだね。
  いいかい。ふとテーブルの下を覘いたときに俊雄君がそこ
  に居たという演出に近いシチュエーションで比較してみよ
  う。
  映画「降霊」の少女霊さんのこのしっとりと控えめな演出
  を見習いたまえ。(写真7)

写真7

  このとき風吹ジュンさんではなく夫の役所広司さんが真向かいにいてふと顔を上げたときに見
  た絵がこれだ。
  どうだい。巧いだろう。怖いだろう。
  それに比べて俊雄君の間抜けなことったらないね。
  これじゃぁただの白塗りの迷子だよ。

伽:ひどい!うちの俊雄は白塗りの迷子じゃないわっ!

女:伽椰子さん、、、散々な言われ様ですわね。。
  ねぇそれじゃあ、湯魔さんわたくしのこれなんてどう?
  わたくしが映画の中で女の子を突き落としたシーンですの
写真8   よ。(写真8)

湯:そうだね。これは良かったね。足があらぬ方向に向い
  ているという画だけで怖がらせる良いシーンだ。
  このあと君が殺した女の子は幽霊となって出現する。
  (写真9)

  さらに君に取り憑かれた代役の女の子の顔が君の顔にな
  って狂って笑うというシーン(写真10)が
  ジェットコースターのように続く。
  この映画の真骨頂のシーンだね。
写真9

伽:なんで女優霊さんと少女霊さんには優しいのに私には冷たいの?

湯:いや、女優霊という映画は良い映画さ。今までに無い怖い演出を徹底的に模索したのだろ
  う。その努力が垣間見られるよ。ただ[良ぉく見るとキャストの後ろに幽霊が居る]という
  演出が何度も何度もあり過ぎて途中飽きるね。やり過ぎだよ。つまり一個確実に怖がらせる
  演出を見つけたために頼り過ぎたんだ。
  あと女優霊さんはね、スタスタ歩きすぎるよあれじゃあ人間と同じじゃないか。

女:え…どう歩けば良かったんですの?

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