結城一誠過去作品展示
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●リレー連載映画レヴュウ/第九回
『女優霊vs.呪怨vs.降霊  代表幽霊座談会』
ジャケット


  それに比べて「降霊」の少女霊君のいでたちというのはとても奥床しくおしとやかでしっとりじ
  っとり怖いんだ。
  何もしない。 こっちも見ない。(見てるのか見てないのかもわからない怖さ)
  ただひたすらそばにいて、何かを訴えようとはするものの、君たちみたいに首を絞めたり、笑っ
  たりもしないんだよ。
  逆に不気味だろ。
写真15
伽:私何もしなかったことありますよ。 ひたすら見てました。
  俊雄と一緒に。(写真15)

湯:まぁな、でも僕は劇場であれを見たとき笑っちゃったんだ
  よ。
  なんか変だよあれ。滑稽だ。
  俊雄君が無邪気に遊び過ぎてるな。もうちょい躾が必要
  だ。
  それに比べてこの何もしてこないのに怖い(写真16)を
  見習いたまえ。

写真16

女:なんだかわたくし自信なくなってきましたわ…

伽:私も…

湯:まぁそう嘆くなよ。僕も少し言い過ぎた。君らの成した偉業を認めていないわけじゃないんだ
  よ。
  女優霊は幽霊映画ブームの礎を築き貞子を生んだ。
  呪怨にいたってはジェットコースターのようなテンポとエピソードの多様さと時間軸をいじった
  演出などは清水監督の幽霊映画に対する熱意が伝わってくる。
  君たち二人(貞子含む)を知らない日本人はいないくらいだよ。
  寧ろ「降霊」の少女霊君を知らない人がほとんどだろうね。
  それだけ世間はジェットコースターのような幽霊映画を求めているということなんだろう。着信
  アリとかも同じだよ。
  いや着アリは、君ら二人とは比べ物にならないくらい酷い粗悪霊だったんだけどね。

  世間が求めているのがジェットコースター式だということを言いたいのさ。
  しかしいかに世間が知らなくてもだね、「降霊」という映画は完璧なんだよ。
  これ以上どういじることも出来ない完璧な幽霊映画なんだ。
  この映画がツマラナイという人は純幽霊映画ではなくジェットコースター式
  幽霊映画を求めているというだけなのさ。
  この「降霊」が余りにも幽霊映画として完成度が高かったために監督の黒沢清さんはこの後
  の幽霊映画では実験的なことばかりをやっている。
  「回路」「LOFT」「叫」どれも普通の幽霊映画ではない。
  まあ、気になる人は見てみると良い。けれども、幽霊映画の完成形であるこの「降霊」を見て
  からだぜ。

写真17   最後に「降霊」の最も秀逸な幽霊描写を紹介しよ
  う。(写真17)
  どうです? 真昼間ですよ!!
  真昼間の燦燦と太陽光の降り注ぐ木陰の下の黒
  い幽霊。

  写真じゃ伝わるまい。
  是非とも「降霊」を見てこのじっとりとした静謐
  で上品な
  それでいて凍てつく演出を堪能してくれたまえ。

女:なんだか結局、「降霊」の少女霊さんの引き立て
  役だったわけ?わたくしたち。

伽:まったくよ。何よ湯魔さん少女霊さんの代弁ばっかりして、
  私たちだってもっとアピールするところあったんだから。
  話し足りないわ!!

湯:おやおやここまできてどうして少女霊君が喋らないのかわからないのかい。君たち。

  喋って人間とコンタクト取れた時点で幽霊失格なんだよ。
  幽霊としての格が違ったようだね。

女:まっ!
伽:むっ!

少: … … …



というわけで座談会はここまで。

来週は結城一誠氏に襷代わりに三角頭巾をお渡し致しましょう。
くれぐれも呪われぬように。南無阿弥陀仏。

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