耽美なホラー映画だった(コメディでもあったな)、と思う。 ストーリーの流れや登場人物の相関関係を精緻に解析してる間もなく、映画は進行していく。一般的に鈴木清順監督といえば、人工的でキッチュな作風から熱狂的なファンが多いというが、まあそれはよく分かる。この映画の場合はそういった作風・感覚の極致とも呼べ、不自然に妖しく、怖い場面の連続だ。何せ冒頭から、水死体の女の股間から真っ紅な蟹が出て来る。盲人の門付けが殴り合って頭から泡や血が噴き出すかと思えば、シーン入れ替わって主演者がすき焼や懐石料理を食っている。ブニュエルを意識したのか、男の目に付いたゴミを舌で嘗め取る女がいたり、ひたすら蒟蒻を千切る女がいたり。この映画ではそうした奇行が監督以下スタッフの美学によって切り取られているのが魅力である。
 ロケ地はどうも鎌倉近辺のようだ。中世峠を切り開いて作ったという“切り通し”が重要なポイントとなっており、登場人物は材木座に住まい、江ノ電も出て来る。あと、この映画にはもの食うシーンが多い。トウモロコシ、すき焼、鰻、蕎麦、腐った水蜜桃、そして真っ紅な蟹が食った女の水死体…食うことをフィルムに収めることで食うことを一度記録として美醜の彼岸へ追いやり、観る者には圧倒的な動物的感覚と欲望を復元的に萌えさせる。つまり、こうだ。他人が食うことはあくまで他人のオーガニ
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