持った良作だ。
 ガレージに灯が点き、狭い4人のラボの扉が開き誰ともつかないナレーションが静かに入る。
 「彼らは勤勉だった。几帳面で勤勉でもあった。だが凡人ぞろいでミスしたり怠けたり内輪もめを繰り返した。かつては有能だと言われた時もあったのだが・・・。
 四人が行っていた研究は難しくも新しくもない。だが応用力に長け必要な物は有り物から作り出していた」
 導入のこのシーンから、恐らく観る者の多くが彼らに共感し、この素朴な思考実験とも言えるSF的迷路に難解さを覚えつつもぐいぐいと引き込まれていくだろう。
 この監督さん、「何かしている」風景を撮るのが実に上手い。
 狭いガレージで基盤をハンダで焼いていく作業工程や小さいテーブルで配送先への商品のパッケージング作業。
 公私混同気味ながらも起業を目指し交わされるミーティング風景。
 キッチンでのだらしない会話。食事風景。
 暇つぶしのテーブルゲーム。
 日常描写が心地よい緊張感を維持しながらフィルムに焼きつけれている。
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