二人の生活に花を添えるという意味合いで、肩書きは古いが、組織からパーティコンパニオンの梢(樋口)が派遣される頃から、工藤の性格の断片が見え隠れする。しかし、それは断片であって全貌は掴めず、至ってハードボイルドミステリアス、テロリスト的恍惚を保ちつつ“ときめき”の中で任務を成し遂げようとする工藤。その任務とは一体、何?
工藤の手が付かぬままの梢を抱けない大倉は二人の仲を睦ませようと、海辺で出会った若い女二人を誘惑したり、情婦を抱き自分の性欲を満たそうとするが、同時に工藤の負う任務のことが気になってならない。そして、大倉は或る時、全国的に幅を利かせる組織の代表である人間が、この渡島を表敬訪問することを知り、工藤の任務が何たるかを悟り始めた。
 任務決行までの間、それを阻害する数々のトラブルを避けつつ、やがて“決行の日”を迎える三人。
 この映画の見所は、一度聞いたら耳を離れないサウンドトラックや伊丹十三作品の撮影を務めたりしている前田米造による乾いた映像や時にトリッキーなキャメラワークにある。そして映画全体が帯びる邦画独特の“翳り”と台詞回し。全編北海道ロケというこの映画、私のような本土に生まれ育った人間には、私が知り得る日本とはどこか違った風土の景色を目の当たりにしているような錯覚に陥って

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