映画は北海道・渡島を舞台に、或る組織に依頼され或る任務を負った男・工藤(沢田)と、その男の身辺を世話する歌舞伎町の医者上がりの男・大倉(杉浦)の待ち合わせから始まる。二人は事前に用意された別荘に住まうことになり、そこで管理された生活リズムによる共同生活が始まる。食事の献立も決まっている。ビーフステーキはウエルダム。デザートは工藤の好物、キウイフルーツ。必ずデザートを食事の先に食べる、という具合で。寡黙で謎の多い工藤に対し「私の感情は気にせず何でも言ってください」といいながらも大倉は工藤の性格と謎な生い立ちに興味を抱くが、工藤は耽々と任務遂行のトレーニングに励み、大倉の関心を足蹴にする。しかし多大な報酬を貰って仕事を請け負っている大倉は、そうした工藤の気分を害さない程度に世話をこなしていく。この映画のキーワードは工藤がよく口にする「涼しいですか?」という台詞。本土に比べれば北海道は確かに涼しい。しかし、映画の中盤に達するとその工藤の台詞が気温差をめぐるものだけでないということに段々気付かされてくる。節々にインサートされる、当時はマイコンと呼ばれていた時代のコンピュータ画面(組織側の任務計画が映される)が観る者に緊張を与えつつ、映画は進行する。男二人の共同生活に修まらずこの映画には勿論性的描写も登場する。