今回紹介するのは森田が『家族ゲーム』のヒットした翌年、公開に持ち込んだ丸山健二の同名原作を扱った映画『ときめきに死す』。丸山の原作は読んでないが、その中身は或るテロリストの哀愁と恍惚を描いたハードボイルドの作品だそうだ。  この『ときめきに死す』はその原作を大胆に森田流のアレンジが加えられ、映画化されたものだ。
ニューウェーブ系ミュージシャンと関わり始めた80年代初頭より「TOKIO」「ス・ト・リ・ッ・パ・ー」「六番目のユ・ウ・ウ・ツ」などがヒットした以降、当時低迷期に入りかけたジュリーこと沢田研二が主演を務めている。しかしながら、ジュリー主演の映画は後年評価される程良質なのが多いのだが公開時はヒットしてない。深作欣二監督による『魔界転生』は話題になったが、他にも彼の主演作は多い。『太陽を盗んだ男』『リボルバー』『妖怪ハンターヒルコ』『夢二』『大阪物語』『カタクリ家の幸福』…あなたはどれぐらい御存じだろうか?
 この沢田研二が主人公に抜擢されて撮られた映画『ときめきに死す』は脇を固める俳優陣も豪華だ。というか、興味深い。ジュリーの他に杉浦直樹、樋口可南子(現糸井重里夫人)、矢崎滋、日下武史、宮本信子、岸部一徳、加藤治子などを起用。キャスティングを誰が務めたかは分からんが、この抜擢も森田流なのかも知れない。

+prev+       -2-       +next+