結城一誠過去作品展示
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レジオキング・イン・柏ジャッジ
by結城一誠
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2007年5月27日、千葉県柏で日本ライヴ界稀に見る劇場型犯罪を目撃した。西城秀樹ではない。NAGOYAの怪王星バンド・レジオキングによる強烈な怪異劇。怪異。怪異。モナークである。

夢か現か現実か夢幻か。かつて彼等の姿を友人ヤナーチェフ宅にてビデオで見たことはある。しかしそれはビデオであって同一の空間で同一の空気を呼吸していなかった。この度、彼等が演るハウス内で同じ空気を吸ったら、あら不思議背が伸びた。いいや、魂の背筋が延びた。
まあ、なんつっても久々のライヴだったから緊張を隠せぬ結城一誠であったが、このライヴばかりは驚愕と爆笑を大いに吐き散らした。まあ大いとは言っても控え目控え目ではあったんだが。さあて、何度文末に“た”を書いただろう。確かにライヴは終ったんだし過去形ではあるんだよな。が、しかしあの体験で結城の大黒柱には何かは刻まれている。同時にあのライヴを今フラッシュバックすれば即時、精神の琴線は揺さぶられる。さあて、結城は何を書いてるんだろうな。ここまでライヴの詳しい報告なんかちっともしてねえ。ただ思うままに書き連ねればこうなってる。

ということで態勢を立て直す。まず俺の知るかぎりでのレジオキングとは何か。

名古屋で活躍しているライヴバンドである。

バンドメンバーは。

否(Vo)、匠(Vo,G)、尋(G)、熊(B)、茜(Dr)の五人である。
否匠尋熊茜。ほうら、五人の名を連結すればまるで経典の一部抜粋みたいではないか。イキでイナセで潔い。

レジオを知ったのは、ムック、いや、前原一人氏(ムックってネーミングは、否氏談、前原氏のよく穿いていた赤いチャック付のズボンから来ているのだと言う。確かに赤ならムックだ。)から教わってもらってからである。それからというもの結城はある映画の予告で流れた「漁火」という彼等の曲が好きであり、まあ長い間ライヴは見に行きたいが、名古屋まで足を運ばないと見れないという諸条件もあり、地元なんだから気軽に帰って見に行けよ、と言われそうだったが、最近じゃあ彼等は東名阪ライヴなんてのをやってるらしく、今回はその何度目かの関東襲撃があるってことで馳走にありつこうと思い、駆け付けてみたのだが、こりゃまた美味。その昼間喰ったアボガドディップを浸けたメキシカン三角煎餅以上じゃねえか。

一曲目の「蝉時雨」から舞台上の交響と喧騒が爆音で伝わって来た。否氏の映像で見受けた以上のパフォーマンスでまるで密室芸人のような結城の度肝を抜いた。ステージから身を乗り出す、または飛び出すヴォーカルなど見たことはないし、曲間にあそこまでフレンドリーでモンティパイソナルなMCは見たことない。予定された調和でない調和の奔走。びっくりだ。ハイライトは「エンドレス・バナナ」。あそこまでバナナ臭のするライヴにもかつて立ち会ったことはない。自分の飲んだカンパリソーダが、バナナダイキリだったかと思えるほど!、てのは誇張だけどね。
バナナの夢から覚めても今度は「イカロス」などの曲で渋味を展開してくる。なんてバンドだ。胸騒ぎがちっとも落ち着かんじゃないか。ギターソロは哭きの極みだし、ベースはノリに乗っている。ドラムは雷鳴のよう、フロントたるヴォーカル/ギターの絡みは絶妙な掛け合いとスクランブルを魅せてくれる。音色の厚みと観衆を惹きつける魅力はモハヤ圧巻で抜群の風情。この風情は非凡である。

と、まるで過剰サーヴィスな激賞の連続だが、詰まらんライヴというのは褒めようとすりゃホント苦し紛れに褒め言葉を出さなきゃならんし、故に不自然になってしまうのだが、この感想は至って流れるまま徒然なるままに書いている。遅ればせながらレジオキングのライヴパフォーマンスを実体験したのだが、遅すぎた。結城が十代でこのライヴ見たら、翌日は箒のスタンドマイク立てて同級生をアジテイトしてたろうなあ。というわけで、これを読んでて気になった人は即彼等のライヴを見に行って欲しい、又は、行きたいと思って欲しい。俺はまた見に行くからなあ。

最後に名古屋にゃこんな伝承歌がある。
“もっと食べてみやーち、もっと食べてみやーち、名古屋といったら寿がきやラーメン、世界の果てまで寿がきやラーメン”。確かにそうではあるのだが、それだけではない。名古屋にはレジオキングがいる。

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