台湾出身の友人が企画した展覧会が3/28から4/28まで東京ワンダーサイト本郷で行われることになり、去る4/14に行ってきた。友人がキュレーターとなり企画された今回の展覧会は、そのタイトル及びテーマを『華・非・華』として、白樂天の「花非花」という漢詩をモチーフに、日本と台湾の現代美術家の花を題材にした作品をそれぞれ展示しコラボレートさせるというコンセプトの元行われているものである。短い間を縫って、愛知から遥々この展示を見に来る私の友人が、展覧会のトークイベントが行われる予定だった14日に上京するということで共に行くのが好都合かと思い、総武線で水道橋下車、友人と落ち合い、未体験であるアート系のイベントスペース・東京ワンダーサイト本郷まで向かった。今回の展覧会がファッションブランドKENZOの協賛を得ているということで、まあKENZOが関わっているか否かは別にして、外部のディスプレイは成る程シンプルかつ洒脱であり、企画者である台湾の友人も派手に装うというタイプではないためか落ち着いた風情を感じる意匠の出迎え。彼女はトークイベントの準備で忙中にあり、我々とも軽く会釈を済ませる程度で、後は本番を待つ緊張感で気もそぞろという状態だった。
展示会場は一般的な商業画廊よりも少し広いスペースであり、ホリゾンタルな内装で二人の作家の花をモチーフにした作品は、それぞれ真っ白な壁面に展示されている。一方はモノクロの花と人間のコンポジション、そしてもう一方は写真画像を加工したかに見える花のアクリルペイント、色合いや方向性は全く異なるように思えるが、そこは企画の妙が効いている。出典された白樂天の詩の意味は「花は花に非ず」であるそうだが、企画者はこれを「花にて花でない」というテーマに翻意し、“両者の作品が花を模しているかに見えるが、花でないようにも見える(華やかに見えて、華やかでないように見える)”というアンビバレントな感覚を伴って作品を鑑賞して欲しいということなのだろうか、異なった両者の作品に通底する「花非花」転じて「華非華」の観念が見えてこなくもない。その辺り曖昧な言葉になるが、成程、言いたいことを感性で伝えるための媒介としてこの展示企画を成し得たというのは流石である。企画者である友人のこの展示企画は、東京ワンダーサイトの展示企画公募で入選したもので、その甲斐あって今回の展覧会開催に至ったという。公募選定委員の言葉を借りれば、この企画は「オーソドックスながらも、東アジアにおいてキュレーターを目指す新しい世代へのチャンス」として入選を果たしたそうであり、友人にとっては日本での活動及び今後の東アジアでの活動の端緒となる機会であるに違いないのだ。
私自身普段、日本を含めた“東アジアの現代美術”を観るという視点で彼らの美術作品を鑑賞する意識は余り無いのだが、今回の展覧会では、友人の企画、またはキュレータートークなどを通じて“現在進行形のアジアン・アート”について少しばかり関心を持つきっかけになったと思っている。そのことへの感謝を含め、この友人への企画展開催に満腔の祝意を持ってこのNOTEを認めた。
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