「Too Much Pain」 THE BLUE HEARTS アルバム「High Kicks」より
「灰色の夜明けを ただ黙って駆け抜けて あなたに会いにゆけたらなあ」
「あなたの言葉が まるで 旋律のように 頭の中で鳴っている too much pain」
本当はこの曲を取り上げるつもりなんてなかったのだけれど、偶然街中で聞いて思わず
足を止めてしまった。ブルーハーツが流れていて、それは気恥ずかしくさえあった。なぜ
なら、もう15年以上前の1991年の歌だから。
中学生だった僕は、テレビでヒロトがこの曲を歌うのを見た。
直接的に音楽の影響は受けていないけれども、確かにブルーハーツは、ある時代を作っ
た。バンドを始めたものは、一度ぐらいはリンダリンダを演奏した。そんな時代だ。
ブルーハーツは過大評価されすぎだという人もいる。確かにそうかもしれない。結局は
パンクという名前を借りた歌謡曲だと言う人もいるし、後年はメンバーの宗教がらみの問
題もあり、嫌いな人も多いかもしれない。でも、そんな理屈はどうでもいい。
少なくともこのメロディーと歌詞は、あの日以来、僕の中にずっと残って、なにかしら
の光景を胸に残してくれた。だからそれは歌なのだと思う。いい歌というのは、こちらが
拒否しても勝手に心の中に入ってきて、否応なしにこちらの感情を好きなだけ揺さぶって
しまうものなのだ。
You tubeでも流れているから、良かったらこの曲を聴いてみて欲しい。
「青空」はブルーハーツによく似合う。ボクは何となくだけれども、それは松本大洋にも
似ていると思ってしまう。松本大洋には「青い春」という短編集があって、どちらも男の
子が大人になる少し前の、あのごちゃごちゃとした若い頃をテーマにしているような気が
する。そうだ、それらは「少年の唄」なんだろう。だから気恥ずかくもあり、変に懐かし
くもあるのだ。
ブルーハーツは希望に満ちた唄を歌った。初めてギターを持った中学生の僕は、それを
聴きながら自分が少しだけ強くなれたような気がした。
そして、それはなにか夏のきらめきにした、もう戻らない何かだった。今思うと。
「もう二度と戻る事はないよ 僕はまた一歩踏み出そうとしてる 少しこわいけれど」
「あなたの言葉は遠くもう聞きとれない 何かがはじけ飛び散った TOO MUCH PAIN」
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