オフィスRHオムニバス
「うっほい!レゲエだよ」より
構造、三上蟲丸を輩出したオフィスRHが真夏に投下した怪物アルバム。
会長三上による圧倒的ジャケットワーク、社長EJによる各アーティストの詳細な解説。
帯を飾るのは140女史、とマニア涎垂のシロモノだ。
大安売りをがなる売り子の声がフェードし入ってくると遠くからヘリの唸る音がけたたましく割り込んでくる。そう、まさにこのアルバムを象徴するかのようなオープニングだ。
ドラムのカウント。
1、2、3、4。
そして、会長による無駄話が唐突に始まる。
「貴乃花の洗脳疑惑ってあったじゃない・・・?」
M1"starscream/ TheGreatestCurveOverThePlanet"
「1940年代の録音としては異例の音の良さですが古くない」と解説にあるようにブームを予見したかのような「ポストロックよりのシューゲイザー」。ギターが重なり合い轟音を響かせる。12トラックギターを重ねたためギターの音は既にシンセのようにすら聴こえてしまう。
最初にコーラスが入っているのだが社長は「いや、絶対これは日本語だよ、『裏道〜』って、ほら」と。
「あれ、英語歌詞なんだけどな、『グラヴィティ』って」。
M2"深海人類が地上人類を征服しに来る日/WA"
「音楽の方もね、ロックなんだけど、ロックじゃないというか。じゃあテクノかと言われたらそうでもないんですよ。」とEJが解説でコメントしているようにWAの音楽のルーツが掴めない。そう言った階層でのオリジナルが発揮されWAワールドがここでも展開されている。
ギターによる不安を掻き立てる滑り出しから、おお、この辺りから深海人類が地上を目指している・・・、と情景がまざまざと浮かぶのだ。深海から浮上する
際彼らの鼓膜を騒ぎ立てる気泡のぶつかり合いと興奮に胸が高まる彼らの鼓動。
しかし、地上までの水圧は容易ではない。
出発した全員ではないだろう、地上に這い上がった彼らの前に、ビル群が揺れて見えるのだ。
M3"thu-bu-se featENYA/DJ.JELLY"
ロックンロールエンジェルスのDJゼリーによるリミックスアルバムから進呈された曲。
寺山をして「ダブマスタになっちまいやがった」と言わしめた才能が遺憾なく発揮されている。クドイくらいの上げ下げに加えてエンヤのコーラスが入り美醜の入り混じったダブグルーブが展開。
M4"水銀魔術団のテーマ アストロジーナヴァージョン/ヤナーチェフ"
壮絶に荒ぶるドラムスから怒涛のごとくはじき出される水銀魔術団のテーマ。「これまで聴いてきた水銀テーマの中で一番カッコいい」と本家2号が認めたカヴァー曲。
水銀チルドレンの中でも古参にして孤高。「プロレス団体にも通じる」パワフルな演奏は今後相当なフォロワーを生み出すに違いない。
M5"B.W.(BokuWatashi)T.E.BANDの健康体操/結城一誠"
「この曲は1983年のアルバム空虚の部屋」からのナンバーでシングルカットもされバンド初のベスト10ヒットにもなった」名曲。
TEバンド(ザ・イースタンバンド)自体自分は相当なファンやっていたものだか
ら久々に彼らの音源を聴いて興奮したったらない。
解説にあった「同級生の宇野君が健康体操やり過ぎて腰を痛め、学校で禁止になった」ってのを読んで爆笑しつつあったな〜うちの学校でもとか思い出しましたわ。
M6"湯魔川淳二の本当にあった怖い風俗怪談/湯魔川淳二"
このアルバムの白眉。何が凄いって、ここで収められているのは文字通り「怪談」なのである。
畳み掛ける語り口は佐野史郎に似た緊張感が伴い、ぞーっと寒気が走る恐怖夜話。
メルツバウ的ハードコアシーンから怪談へと移る変化を紐解くヒントが解説に記されていた。「客に与える衝撃を考えると最終的にこうなった」とあるように、ここで語られる風俗怪談、非常に怖いです。
M7"地方都市/元素記号K"
「ある意味音楽的奇跡」と解説にある。まったく俺も同感である。
水銀チルドレン元素記号Kによる初音源がこの「地方都市」である。
強烈に印象に残るリフ、耳に残るサビ。ここの舞台は国道沿いの郊外の風景である。自分BOXのTAKUが歌ったように「郊外のヤンキー」がたむろするファミレスがあるような。今時代俺らの共通した故郷の風景ってのは山や川よりここで歌われた地方都市なんだろうな。
M8"怪人/TAKU(from 自分BOX)"
スタジオ録音時肝心のTAKU氏がいなくなり、急遽近くの大学の「学生アルバイト」がメインボーカル、TAKUはコーラ
スという前代未聞の曲。「ムカつく」をキーワードに延々怒り続ける。
これまでのBOXの楽曲群の中でも俺は特にTAKU氏の歌声は気に入っていてどうもそれは俺だけじゃないらしい。ヤナーチェフも気になると言っていた。
私事になってしまうが以前撮った映画「こなれた女が乳首を犯す」ではオープニングで彼の曲「BOXインターセプト」使わせていただきました。
M9"I care becaouse you do/三上鐡丸withKoffi OLOMODE"
「三上蟲丸の意志を対継いだ息子」鐡丸と「ケニアのミュージシャン、コフィー・オロミド」によるユニットが繰り出すアンビエントかつ豊穣なテクノアンサンブル。
自分BOX、EJ・TAKAにも通じる繊細なドラムサウンドと情緒感溢れるメロディ。背景で交わされるヴォーカルにエフェクトした呟きともとれる歌詞が暖かく柔らかい。
M10"GETWILD/三上蟲丸"
カラオケ。
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