SKYWAVE
「SYNTHSTATIC」より
シューゲイズシーンがスタジオワークと綿密な関係にあったことを思うとテクノとはまた異なったテクノロジーから発生した音だったのだな、と気が付く。
90年代に思い描いた「近未来の音」が実際に耳にできるようになった。
ボーカルは出来うる限り抑えられ溢れ狂う激情はギターノイズに。
イメージはヴィデオ画像を巨視眼で画面一杯に走らせたアナログなテクニックでデジタル化を図ったデザイン。
ロウテクニックの心地よさ。
ルーツはMBV「LOVELESS」のアノ赤いジャケット。
80年代後半から90年代前半。
日本でサイヴァーパンクが流入しその影響下の下僕らの見る風景はあった。
AKIRAの大友氏がカラー原稿を一度ヴィデオに取り込む加工をしたり、
ぺヨトル発行の「WAVE」のジャケ、PC98シリーズやマックは高価で30万はかかりテクノロジーがまだ手元に無い頃。薄れ行く超合金、席巻するプラスチック。アンダーグラウンドがカウンターカルチャーという色合いよりもポップでおシャレな空気をも纏っていく頃。
メディア論が普及しストリートの芽吹き、アイドルのカルト化が進み、至るところが「郊外」となっていく頃。MRIで灰褐色のこぶし大の脳がモノクロ画像でデジタル化された映像を目の当たりにした頃だ。
「デジタルな工夫」をしていた風景。
そこからの近未来の音。
鼓膜を突き刺すフィードバックノイズ。
溢れかえるウェアハウス。
レトロティックなシューゲイザーとホロの饗宴。
バケットとパイルアップを繰り返すベースとドラムに同調し、フリップフロップして砕け散るホロのフラクタルがフロアに舞い砕けていた。
ユラリ揺れるオーディエンス。
かき集められた近未来。
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