全5曲。圧倒的。茶封筒に印刷された歯車のジャケット。真っ赤な色紙に印刷されたマントラのような歌詞。自分BOXTAKU、結城一誠の二名がライナーを寄せている。
全編にぎらりとほとばしる攻撃的威圧感。聞く者に汗を噴出させる熱量の高さ。テクニカルを想像させる音色に滑り込むようにアジテートするかのごとく朝宮の「声」が入り込む。深夜のコンビナート。足から削りだした猟銃。M1「党員」
政治的右派、左派という軸を持ち冷静に語られる、語りうる主義主張をなぎ倒し、言うなれば「彼方」へと向かうエネルギーをこそ手放したのが大罪だ、と告発するM2「陛下」。
ノイズ。イン、ダスト、リアル。緩んだリズム。繰り返される倦怠とだらしなさから迸る激情。おそろしくカッコいいM3「ドリー」。
結城一誠がリミックス版を手がけた原曲となるM4「福音」。又吉イエスが印象的にカットインするセイケンホウソウ。イズム、イデオロギーなるものと個人の人生観の奇妙な共存と依存、可能性が在るからこそ、希望が絶望に変わる瞬間。この反転をたった一曲で体現せしめた狂おしいほどの美学がこめられた名曲。
EJ特有のドラマチックな展開がインダストリアルな音作りで加速し、詩とVoを担当する朝宮の空気感が絶妙に噛み合い奇跡的な効果を生み出したM5「ニコライ」はこの上なく美しく「忘れ去られる風景」が描きつくされている。
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