か画面に現れる癖だったかと思う。
 比喩による異物の挿入ではなく、画面内の情報を用い今目の前で流れていく台詞や効果音、役者の表情という演技で忍ばせてくる。
 例えば、うっとおしい蝉の鳴き声はカーステレオでフェードアウトするシーン。
 幼い娘が悪夢に悲鳴を上げるシーン。
 ここでトムの初登場なのだが、まず、オープニング、ギャング2人の暴力シーケンス。
 ギャングの放った銃声が尾を引き娘の悲鳴に被りながらトムの娘、サラのアップへとカットが移る。
 サラは身を起こし目を見開き悲鳴を上げている。
 と、サラの全身を影が覆う。
 その影の主は娘を心配し部屋に現れたトム。
 主人公の初登場シーンだ。
 娘のお化けがを観たという訴えをトムは夢をみたんだ、と否定する。
 次に悲鳴を聞きつけた長男ジャックがサラの元に現れる。
 トムがサラを抱きしめている横に腰掛け、サラの見た怪物を「影お化け」となづける。
 怖そうに見えるが明るいところではなにもしない、とこれから先の物語を暗示するやりとりが交わされるのだ。
 そこに妻が現れどうしたの?と尋ねる。
 と、トムは「お化けの夢を見たんだ。いやしないと
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