「HAZE」ジャケット ABARA
二瓶勉  実に久しぶりに弐瓶勉の単行本『アバラ』が発売された。わたしはこれを、当サイト管理人から教えてもらったのだが、一気に読んだ。
 まず根本的な認識だが、二瓶氏の魅力は、彼が描く世界が〈再生〉ではなく、〈終末〉へと向かうそのベクトルの中にある。命が生育し、種が増えていくプロセスがエロスなら、無限増殖する構造物や、意識だけがダウンロードされたモノたちはいわばタナトスだ。  例えば『BLAME!』ではひたすら建築物が無制限に増殖し、侵食してゆくという世界設定だったが、増え続ける階層や階段たちは、もはや人間のために建築されているわけではない。それこそバグのように、「増やす」というプログラムを繰り返しているだけだ。何かに向かい生育するというエロス的な動きを見せながら、結局は何も生み出していない。無や死というタナトスの世界の中で、世界は混沌な空回りをしている。
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