「ホログラム薔薇のかけら」
ウイリアム・ギブスン著
俺が生まれる一年前。77年セミプロジンUnearth(アンアース)3号にウイリアムギブスンの処女作、「ホログラム薔薇のかけら」が掲載された。
「パーカーは暗闇に横たわり、ホログラム薔薇の千余のかけらを思い起こす。
ホログラムの特製からすると、あれを回収して光に当てれば、
かけらがそれぞれに薔薇の全体像を現すことになる。
デルタ波に落こみながらパーカーは、自分自身を薔薇と見る。
おのれの散らばったかけらのそれぞれに、自分ではついには知り得ない全体像を現している―
盗んだクレディットカード―燃え尽きた郊外―見知らぬ女の星の合―
高速道路で燃える戦車―平らな麻薬の包み―コンクリートで磨いた飛び出しナイフ、
悲痛なまでの薄刃。」
(ハヤカワ文庫ウイリアムギブスン著「クローム襲撃」収蔵「ホログラム薔薇のかけら」83頁)
処女作をその後のギブスン作品全てがアーカイヴされた物と捉えるのには無理があるし、できすぎている。