【岡田真澄の記憶。】私が東京に来て初めて目撃した有名人、それが俳優・岡田真澄だった。確か四年前、友人と宵待ちの銀座は博品館付近を歩いている時だ。大仰なカメラ、そして照明が皓皓と焚かれ、恐らくテレビ番組収録中の彼を私たちは目にしたのだ。直感、「銀座が似合うなあ」と思った。背が高く、他の道行く日本人離れした体付き、しかも照明を浴びてるのだから目立たないわけがない。声こそかけなかったが、思わずそのテイと状況に友人共々叫んでしまったのを覚えている。
昨年、友人のライブを見終えた新宿の厚生年金会館前で美輪明宏を目撃した時もそうだったが、場は煤けて地味な場所でもその人のアウラが群を抜いていれば、それまで見ていた風景がその容貌の浮き彫りでこんなにも変わってしまうのだなあ…と思ったことがあった。特にそれが美輪氏だったりするのだから、その変容ぶりは破格である。
とはいえ、岡田真澄を目撃したのは銀座の繁華街である。これでは、そのアウラの効果はネオンライトと人いきれに助長され倍増し、恒常的な盛り場もより華やかに見えるというものだった。アウラというものは凄いものである。
しかし、その岡田真澄も先日黄泉の国へ逝ってしまった。超能力者のような名前の兄、E・H・エリックの元へ。親戚にしたいとさえ思った彼の持つあの包容力は一体なんだったんだろうか。今は唯冥福を祈りたい。
(Y.K.)