書影 【雪市マコトのOh,My Business@/電光掲示板サロン(仮)の目論見】
ある日、予てより電光掲示板好きな私は、CDプレーヤーにイヤホン、耳に付けながら、テクノなどの音楽を聞きつつ、電車内の行先案内板の電光掲示の流れに見とれていた。もはや個人的なフェティッシズムでしかない一方的な行為だが、ふと見取れている内に、この状況をうまく切り取って、イベントや固定的な場所としてこれを活用することはできないだろうかと、感じてしまった。つまり、概要はこんな感じである。
@大小長短各種の電光掲示板をある一定の場所に設置して、そこにはランダムに電車飛行機公共機関の行先案内から公私問わない警句、小説の一部分、俗悪なキャッチコピー、俳句短歌狂歌川柳、ニューステロップ、偉人の名言格言などを流す。
Aその電光掲示とともに、ジャンルを問わずBGMとして、いや、生演奏として即興演奏でもいい、音楽を流す。
Bその場を酒呑み場としても、カフェーとしても、あまり乗り気ではないがダンスフロアとして活用しても良い。つまり、社交場とする。
C場の構成は、焦げ付かせた煉瓦、もしくは黒壁か黒檀の様なもので木造壁を用いた暗室が好ましい。ホリゾントは嫌らしい。恥ずかしい。照明はやさぐれた間接照明で良い。
D場の持つ本質は一般的にいわれるアートではない。この場は“状況”の提案、提供であり、電光掲示板はあくまでもクアーズやバドワイザーのネオンサインにも勝らぬ標示でしかない。音楽は、状況を囃す要素であり、ジャズバーやロック喫茶のそれとは準ずる可能性はあるが、その位置は本位ではない。演奏家がいる場合は異なるが、音源かけるのみならその位置は“ミューザック”で良い。
と、ここまでしか考えてないが、いずれアイディアを整頓して、プランニングを立てる段階に運んでいきたいなあ。皆さんよ。かなりラフな直感による提案だが、資金的な側面を除く除かぬにしろ、実現不可ではないところが味噌だ。思考停止空間だ、とかSFチックだ、と叩く奴は叩けばいいのさ、と。いずれにせよ、状況が思考やSFを作り出すのだから。長年、世に対する不和感、疑問を湛えつつ私の水面下で考えられていたであろうこの状況設定の目論見が、ある程度生半可でない…と反応されることを期待して、慣れないポーズで世の同世代もすなるプレゼンというものをしてみたが、いかがなものか。
(文責・雪市マコト)